ロードバイクのライディングに関する書籍やスポーツ科学に関する書籍を読んでいて、専門用語に遭遇することは多いです。
大体の用語は、インターネットで検索し、検索上位の5サイト程度を読めば解釈できたのですが、数点、解釈するのに時間がかかった内容がありました。
そのうちの1つが、筋肉の収縮様式についての解説内容についてです。
筋肉と関節の動きについて勉強し始めた方で、私と同じような疑問を抱く方もいるのではないかと思い、記事にしてみることにしました。
日常動作に関わる筋収縮の種類は、大きく3種類
日常動作の中で、発生する筋収縮の種類は、以下の3つです。
・コンセントリック収縮(短縮性筋収縮)・・・筋肉が縮みながら収縮し、力を発揮している状態
・エキセントリック収縮(伸張性筋収縮)・・・筋肉が伸びながら収縮し、力を発揮している状態
・アイソメトリック収縮(等尺性筋収縮)・・・筋肉の長さに変化がない状態で収縮し、力を発揮している状態
他にも、アイソキネティック収縮(等速性筋収縮)という一定の速度で筋収縮を起こすという特殊な種類もありますが、これは特別な筋トレマシンを使わない限り、そのシチュエーションを発生させることが難しいので割愛します。
※要は、日常生活ではほぼ起こらないということです。
各筋収縮の簡単な説明を見て、「えっ?どういうこと??」と思われた方も多いのではないでしょうか?
私は、「いや、それは矛盾してるやろ、意味がわからん」となったのですが・・・
コンセントリック収縮は、スッと入ってきますよね。
筋肉が縮まり、関節を通じて筋肉がついている先の骨を筋肉の収縮方向に動かすという動作なので、自然です。
意味が分からないのは、エキセントリック収縮とアイソメトリック収縮です。
「筋肉が伸びながら縮むって何??」という話ですよね。
「筋肉が縮んでいるのに、長さが変わらない」というのも矛盾しているように思えます。
この2つの意味を理解するのに、少々時間を要したのですが、「バーベルを持って、腕(肘関節)を曲げようとする動作」を例に、以下のように解釈することで、私は理解できました。
コンセントリック収縮・・・筋肉が縮もうとする力が、バーベルの重さに勝り、筋肉の長さが物理的に縮まって、前腕が引き寄せられる
エキセントリック収縮・・・筋肉が縮もうとする力が、バーベルの重さに負け、筋肉の長さが物理的に伸ばされ、前腕が引き離されてしまう
アイソメトリック収縮・・・筋肉が縮もうとする力が、バーベルの重さと均衡を保ち、筋肉の長さが変わらず、前腕が動かない状態
重要なのは、以下の2点です。
・どの動作も筋肉は縮もう(収縮しよう)としていること
・結果として、筋肉の長さが縮んだり(短縮したり)、伸びたり(伸長したり)していること
結果(〇〇性)と意思(収縮)が、筋収縮の種類名に盛り込まれていると解釈しました。
筋トレなどの身体動作に関する文章、書籍を読む際、筋収縮の種類は知っている前提(基礎知識)で話が進むことが多いため、知識として蓄えておくのがおすすめです。
ちなみに、各筋収縮の特徴は以下のとおりです。
コンセントリック収縮(短縮性筋収縮)
筋肉が縮みながら、力を発揮する収縮様式。
意思を持って、関節を曲げようとした際に起こる。
アームカールであれば、赤矢印の方に前腕を曲げていく時に、上腕二頭筋はコンセントリックに収縮する。
筋肉が発揮できる最大の力に対して、小さい力で実行できる動作になるため、負荷は小さく、筋肉痛は起こりにくい。
コンセントリック収縮をメインとした筋力トレーニングをポジティブワークと呼び、比較的安全に行えるトレーニング方法となる。
筋トレ時の開始ポジションから体勢変化させきるまでがコンセントリック収縮のパートとなり、1回の動作の3分の1の時間をかけるのが理想とされている。
また、コンセントリック収縮の時は、口から息を吐くのがよいとされている。
例:腕立て伏せの腕を伸ばす時、スクワットの脚を伸ばす時、腹筋の上体を上げる時など
エキセントリック収縮(伸張性筋収縮)
筋肉が伸びながら、力を発揮する収縮様式。
関節を曲げた後、重力に逆らいながら元の位置に戻そうとするような場面で起こる。
ブレーキをかけるような動作が該当する。
アームカールであれば、赤矢印の方に前腕が伸びていく時に、上腕二頭筋はエキセントリックに収縮する。
筋肉が発揮できる最大の力に対して、大きい力を加えることも可能となり、負荷を上げることができる。
また、速筋を優先的に使用するという特性を持つため、筋肥大に有効=効率のよい筋トレ方法といわれている。
筋肉痛の原因になりやすい。
エキセントリック収縮をメインとした筋力トレーニングをネガティブワークと呼び、効果は期待できるが、故障等のリスクが増えるトレーニング方法となるため、注意が必要。
筋トレ時の体勢変化後から初期ポジションに戻すまでがエキセントリック収縮のパートとなり、1回の動作の3分の2の時間をかけるのが理想とされている。
また、エキセントリック収縮の時は、鼻から息を吸うのがよいとされている。
例:腕立て伏せの腕を曲げる時、スクワットの脚を曲げる時、腹筋の上体を戻す時など
アイソメトリック収縮(等尺性筋収縮)
筋肉が長さを変えずに、力を発揮する収縮様式。
アームカールであれば、写真の状態のまま維持する時に、上腕二頭筋はアイソメトリックに収縮する。
直立姿勢を維持をする際の反重力筋などが該当する。
空気イスもアイソメトリック収縮による姿勢維持に当たる。
最大負荷が、筋肉が発揮できる最大の力と同値になるため、故障リスクが低く、安全にトレーニングでき、安全な範囲内で高負荷を実現できるという利点がある。
機材を使わず、お手軽に筋トレを行える。
デスクワークの方にとっては、正しい姿勢で直立不動をキープするだけでも、アイソメトリック収縮をつかった筋トレになるのでは?
例:プランク、空気イス、直立不動など
最後に
ロードバイクのペダリングにおいては、エキセントリック収縮の動作は、ほぼ存在しないと思います。
存在しないことが理想的といった方がいいのかもしれません。
エキセントリック収縮は、ブレーキの役割を果たす筋収縮様式です。
ペダリング時にブレーキとなる要素が働くのはマイナスですよね。
常にコンセントリックに力を加え続けるか、もしくは、フォーム維持のためにアイソメトリックに力を発揮するのが理想ということになるかと思います。
※下死点へ向かう脚(ペダリング4時~6時ぐらい)に対して、踏みすぎないようにブレーキをかけるため、腸腰筋をエキセントリックに使うというのはあるのかもしれません。
そうであるなれば、その後の腿上げにも腸腰筋は使いますし、体幹の安定にも使うため、フル稼働状態の重要な筋肉ということになりますね、腸腰筋さん、大変。
最大のブレーキ筋といわれている大腿四頭筋をなるべく使わないようにすること、アクセル筋と呼ばれるハムストリングスや大腰筋(腸腰筋のメイン筋)をフル活用することが重要なのではないかと思います。
ロードバイクに乗る際に、少しだけ意識してみてもいいかもしれません。
コメント
最近同じく色々情報見ていると、◯◯リック収縮っていうのが出てきまくってて、混乱しちゃってたのでまとめていただいて助かります☀️
ただ、私はエキセントリック優位の世界を下地にしているので、伸張性収縮も用法容量を守って正しく使えると楽しく楽になる事もあるかなと思ってます。
体験して頂くにはコンセトリックとエキセントリックを使い分けた懸垂をしてもらうと分かりやすいかと思います(๑•̀ ω•́ゞ
〇〇リック収縮って、初見では絶対に理解できないですよね~www
筋トレを効率よく行うには、エキセントリック収縮でというのが定説みたいですね。
自重トレをやるにしても、ゆっくり戻すことを意識した方が効果ありそう♪