以前から考えていたことなのですが。
人に何かを説明するのって難しいですね←唐突
特に、ロードバイクの技術論3種の神器であるフォーム、ポジション、ペダリングは心底難しいと感じる今日この頃。
多くのロードバイク乗りが沼に引きずりこまれている事実がすべてを物語っていると思います。
で、タイトルの件。
初心者の方に、ロードバイクでラクに速く遠くまで走る方法をシェアしたい!!
せっかく始めたロードバイクを嫌いになってほしくない!!
ロードバイクを思う存分楽しんでほしい!!
という想いで、自分の経験や自分自身も仲間に教えてもらって役に立ったことを発信される方もいらっしゃいます。
それは、私も含め。
でも、その真意を上手に伝えることができないことが結構な率で発生しているなと思った事象がありまして。
代表例を2件ほど挙げてみたいと思います。
そして、その解消方法も私なりに考えてみました。
結論は
発信内容を伝えたい対象者を明確にすること
では、事例に移ってみたいと思います。
初心者へのアドバイスに、上級者が上級者向けのアドバイスを追加してしまい、初心者が混乱するパターン
いつもTwitterで拝見しているPTフィッターのにっしーさんがツイートされた内容に、かの富士ヒルチャンプ兼松さんがアドバイスをされている場面がありました。
腕を伸ばして、体幹を支える走りも、ポジションとしては重要だよ!
新城のライドを見てみてね☆— Yamato Kanematsu (@Changingman_TGR) 2019年3月10日
にっしーさんが、初心者向けにロングライドで腕を曲げて体幹を使いフォームを維持するのが難しい理由とその解決方法としてポジションを立ち気味にすることでカバーするのも1つの手だと思いますよという内容をツイート。
それに対して、兼松さんが腕をのばして体幹への負荷を分散させる乗り方も重要だよとリプライされたという場面。
兼松さんのアドバイス、すごくためになる情報だと思います。
体幹を使って走れるようになっている中級者以上の方にとっては。
しかし、にっしーさんが発信対象としたであろう初心者にとっては、実現しようと思ってもできないレベルのことをアドバイスされているようにも思えます。
下手をすれば、「あの兼松さんが腕をのばして乗ってもいいって発言してる」と捉えられる可能性すらありそうなが気がします。
もちろん、兼松さんにそんな意図はないでしょうし、はっきりと使い分けをするのが重要と書かれています。
しかし、体幹を使って乗る感覚すら満足に理解できていないであろう初心者が、使い分けの話を聞いても頭の中がクエスチョンだらけになるように思います。
そして、初心者ほどパッと見て分かる物理的な部分だけにフォーカスを当ててしまいがち。
にっしーさんは、初心者を次のステップに導くための2つのポイントを書かれています。
1.可能なら腕を曲げ気味にして、体幹を使って乗る方がいいですよ
※でも、初心者のうちは筋力が足りなくて難しいですよね
2.今のつらい状況を緩和するための即効性がある解決策として、ポジションを詰め気味にいじるのも手ですよ
私見ですが、初心者に伝えるべきインフォメーションとしては、上記2点に絞る方がよいと感じました。
この2点に
3.でも、腕をのばして乗る方がいいこともあるんですよ
3点目が付加されると、1点目の内容と正反対の理論が登場したことになり、初心者は「結局、どっちなの?」となる可能性が高いのではないでしょうか。
しかし、悩ましいのは3つ目の情報も体幹を使って乗ることができるようになった後、非常に重要なテクニックとなるということですね。
実際、ツールの選手が動きのない展開で、集団内をサイクリングをしている状況では、腕をのばして初心者のようなフォームで乗ってますから。
ただ、それはあくまで体幹が使えるようになり、どちらの乗り方もできるようになった中級者以上の方に有益な情報だと思います。
そして、初心者にとっては毒になりうる情報でもあると・・・
なので、上記1,2の情報に関しては「これはロードバイクに乗り始めて数か月の初心者向けの情報です。」とか、3の情報に関しては「体幹が使えるようになった中級者向けの情報ですけど」など、対象者のレベル(前提条件)を明記すると混乱を招かずに済むのではないかと思った次第です。
誤解されたくないので、念のためにもう1度書きますが、にっしーさんのツイートも兼松さんのツイートも有益かつ正しい情報だと思ってます。
いつも素晴らしいツイート、ありがとうございます!!
同じキーワードでも、捉え方が異なるパターン
次の例は、私と奥さんの間で交わされたペダルを回すというキーワードに関する認識違いのお話です。
※私は上級者だなんて思ってませんし、奥さんが初心者だとも思っていませんw
いままで感覚だけでロードバイクに乗ってきた奥さんが、突如、技術論に目覚めました。
どうもヒルクライムで速くなりたい様子。
そこで、私にヒルクライムのコツを聞いてきたんですよ。←私に聞くとか自殺行為w
私はこのようにアドバイスしたんです。
「10%近い勾配だと踏みがちになるから、回す感覚を意識して踏まないように」
すると、奥さんがこう言ったんですよね。
「わかった。踏まないようにクルクル回すようにしてみる」
う~ん・・・
私、回すように意識してねとは言ったけど、クルクル回せとは言ってないんだけどな・・・
「回す」の解釈が私と奥さんで違うんですよね。
AKIRA・・・膝で踏まないように注意しつつ、丁寧にペダルに圧をかけて回すように(ケイデンスは気にしていない)
奥さん・・・ハイケイデンスでペダリングする
故に「クルクル」という表現が付加されて返ってきたんじゃないかと思います。
「ぶん回せ!!」という言葉に引きづられているような気もしますけど、「回す」をハイケイデンスでペダリングする意味で捉えている人、意外に多いのかもしれません。
以前は、私もそう認識していました。
しかし、初心者に向けての「ペダルを回して」と初級者に向けての「ペダルを回して」は意味合いが異なるのではないかと思います。
初心者は、そもそもハイケイデンスで回すことができず、重めのギアで、低いケイデンスで踏み踏みしがち。
膝を痛めることに繋がりますし、長距離を走るのに向かないので、心肺も使って走れるように軽いギアで、ハイケイデンスでクルクルと回すことを第1目標に据えるのが定番ですよね。
なので、初心者に向けての「回す」は「軽いギアでクルクル回す」でいいと思います。
しかし、ハイケイデンスで回せるようになった初級者に対して「回す」と表現した時は、その意味合いは2つに増えるのではないかと考えます。
1.ハイケイデンスで回す
2.踏まない(膝の伸展をメインとしない)ようにして、無駄を省き、効率よく、きれいに回す
私が奥さんに伝えたかったのは、2の意味合い。
がむしゃらに踏みすぎるなよ~と言いたかったんですね。
でも、奥さんは1の意味合いで捉えたということです。
奥さんが「クルクル回す」というキーワードを口に出してくれなかったら、私が伝えたかった内容が間違った伝わり方をするという哀しい状況に陥るところでした。
顔を突き合わせて直接会話していたことで回避できましたが、文字だけで伝えていたら真意は伝わらなかったでしょう。
この件も、私と奥さんの間にあるペダリングに対するレベル感の些細なズレが引き起こしたすれ違いだったように思います。
しっかりとコミュニケーションをとり、レベル感のズレを考慮に入れて言葉を選ぶことが重要なのではないでしょうか。
フィッターが重宝されるのも、個人に寄り添えるという要素が大きな理由の1つになっているのではないかと思います。
文字で表すのは、本当に難しい・・・
この記事ですら伝えたいことが伝えれているのやら・・・
箇条書きしてみると
・ロードバイク技術論の表現には、同じキーワードなのに人によって受け取り方が異なる内容が多い(踏む、回す、前傾、体重をのせる等)
・歴や経験、レベルによって伝えたい内容は変わるのに、以前から使っている別の意味を持つキーワードを使ってしまう不思議
・誤解を与えないようにするコツは、前提条件の提示とレベル感の擦り合わせを積極的に行うこと
そんな話をしてみたかっただけですw
次回、私の経験上で1番の失敗例を記事にしてみたいと思います。
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