2年前ぐらいから感じていたことなのですが、冬よりも夏の方が速く走れるんですよね。
年中、同じコースを速度(巡航や平均)を意識してトレーニングで走っている方であれば、共感いただけることかと思います。
この事象について、「大真面目に考察されたことがなさそうなのでやってみた」的な私の好きそうな記事が海外で発信された模様。
なぜ冬になると自転車のスピードが遅くなるのか?という永遠の謎に突っ込んだ記事。結論は空気抵抗が増えるからです。21℃から7℃になると5%の空気抵抗が増え、走行抵抗として3%ぐらい増えます。低温によるタイヤや呼吸器、筋力への影響についても考察してますが、ほとんど影響がないとのこと。 https://t.co/KZ1DIRsRK7
— ににた (@ninita_org) 2018年2月9日
それがTwitterで日本人によりリツイートされ、7,000リツイートを集めて話題になってます。
発信元のツイートのリツイート数は100ちょいやのにね(笑)
日本人はこういうの好きなんですね~
私も大好物ですので、私の考えもミックスして記事の内容をまとめてみました。
※英語が読めないので翻訳機能を使って読んだのですが、専門用語が多い記事はまともな日本語にならない翻訳あるある発動・・・
冬は夏よりも遅くなるのは本当なのか?
私、神戸の須磨から舞子(明石海峡大橋)までの国道2号線往復をメインのトレーニングコースとしております。
「飽きずによう走れるね」と言われるぐらいには、頻繁に走っています。
そこで、走行距離が月500kmぐらい継続して走っていたころの2016年8月から2017年3月までのうち、夏場と冬場のベスト記録を並べてみました。
こちらが、2016年8月27日の記録で、Ave35.7km/h
こちらが、2017年3月11日の記録でAve34.3km/h
東西の往復ですので、横風があるとイーブンとは言い難いのですが、何本も走っているうちの
ベストなので、そこそこ同じような環境だったと思います。
そのような中、差は1.4km/h
感覚的には、冬場にAve35km/hオーバーは無理。
追い風だったとしてもペダルが重いんですよね、夏場に比べて・・・
2016年末から2017年初めにかけては、堺浜クリテデビューで優勝などもあり、2016年夏に比べて走力は上がっていたはずなのですが、この結果。
私を例にとると、夏場の方が冬場より速いのは間違いないです。
ということで、件の記事の内容を見ていきましょうか。
影響を与える要素は、空気密度・タイヤコンパウンド・人体の3つ
夏場より冬場の方が遅くなると考えられる要素は、空気密度、タイヤコンパウンドの固さ、人体の3つです。
人体に対する寒さの影響は?
人体は、気温が低いと動きが鈍くなります。
ぶるぶると震えているような状態から、いきなり運動を始めると動きにくいですよね?
しかし、考察記事の中ではウォームアップが終わると動きは夏場と同じになるとのこと。
夏場と冬場の違いは、体温を維持するために発熱量が違うだけで、パフォーマンスへの影響はほぼないと。
むしろ、オーバーヒートに対する冷却効果という点においては、冬場の方が有利とも書かれています。
確かに、冬場であっても必死のぱっちで踏んでいる時は、滝のような汗をかくぐらい体温は上昇しているので、寒さは影響しないように思えますね。
また、気道や肺への影響にも言及しています。
特に喘息ぎみの方は、暖かい空気の場所から冷たい空気の場所へ移動した直後、呼吸がしづらいことがあるとのこと。
しかし、これも時間が解決してくれて、冷たい空気になれてしまえばパフォーマンスは変わらないとのことです。
よって、寒さによる人体への影響はほぼないと結論付けていますね。
タイヤのコンパウンドの固さの影響は?
タイヤはゴムでできているため、気温が低くなると固くなってしまいます。
タイヤの転がり抵抗は、ゴムが固くなればなるほど(柔軟性がなくなるほど)大きくなるとしています。
タイヤの性能指標の1つに、ケーシング(TPI)がありますよね。
TPIは、ざっくり説明するとタイヤの柔軟性を表した指標です。
TPIが高ければ(320TPIなど)、柔軟性があり転がり抵抗も低いタイヤということになります。
詳しいことは、こちらのサイトを参照していただくと分かりやすいかと思います。
ということで、寒さによる影響はあるとしています。
Specialized社のタイヤプロダクトマネージャ、Wolf VormWalde氏によると、「午前中に8℃以上の温度変化が見られた夏の日にテストを行ったところ、約5%の転がり抵抗の変化が起こった」とのこと。
数値で気温差による転がり抵抗の変化は実証されているんですね。
が、しかし。
そもそも、その影響力が小さいんじゃないの?と考察記事では指摘しています。
というのも、ロードバイクが受けている抵抗の80%以上は空気抵抗であり、タイヤの転がり抵抗は10~20%程度。
ロードバイクが受ける抵抗については、以下の記事を参考にしていただければと思います。
参考記事:初心者必見!!ロードバイクにおける空力(エアロダイナミクス)の重要性について
間をとって、転がり抵抗が全体に対して15%の影響を与えるとして、その内の5%パフォーマンスが悪化したとすると、全体に対する影響度は0.15×0.05で0.0075=0.75%ということになります。
仮に300Wの出力であれば、2.25W差の影響があるということですね。
考察記事では、大した影響はないと書かれていますが、私からするとそこそこ影響を及ぼしているのでは?という気もします。
空気密度の影響は?
さて、本題の空気密度の影響についてです。
考察記事では難しい公式等々が記載されているのですが、ポイントは
・気温6.9℃の環境における空気密度は、1平方メートルにつき約1.27kg
・気温20.9℃の環境における空気密度は、1平方メートルにつき約1.20kg
・その差は約5%
・空気密度は抵抗力の式の乗数であるため、空気密度が5%上昇すると空気抵抗が5%増加する
夏と冬の気温差が、イギリスあたりの気温をモデルにしていそうですね。
日本(神戸)であれば、2℃と32℃ぐらいの差がありますから、こちらのサイトの密度計算器を使わせていただいて差を出してみました。
ちなみに、考察記事にあった空気密度の結果に近くなりそうな気圧は1020hPaでしたので、この値を採用しています。
・気温2℃の環境における空気密度は、1平方メートルにつき約1.29kg
・気温32℃の環境における空気密度は、1平方メートルにつき約1.16kg
・その差は約10%なので、冬は夏よりも空気抵抗が10%増加する
先に書きましたが、ロードバイクの抵抗の80%を担う空気抵抗が10%も増加するということになります。
これを全体に対する影響度に変換すると、0.8×0.1で0.08=8%ということになります。
仮に300Wの出力であれば、24W差の影響があるということです。
致命的ですね。
15Wの出力差で、63kgのライダーが機材10kg、17kmのど平坦TTにおいて、30分で走れたところを30秒速く走れる計算です。
大体1km/hほど平均速度が変わる計算ですので、24W差であれば2km/h弱の差が生まれることになります。
私の走行ログと同じような結果ですので、信憑性がありそうですね。
最後に
考察記事に対して、私の考えもミックスして解説してみましたがいかがでしたでしょうか。
冬の遅さに関して仲間内で話をした時に、夏も冬も大阪-舞子間を毎週のように往復している友人がこのような話をしたことを思い出しました。
「冬場は空気が硬い」
私は、空気の硬さを感じれるほど走り込めていませんが、感覚で分かる人には分かるんでしょう。
さて、考察記事では触れられていませんが、服装が変わることも空気抵抗に影響を与えていると私は考えます。
冬のウインドブレークジャケットと夏のエアロを意識したジャージでは、受ける空気抵抗に差が出るのは当然かと思います。
服装による空気抵抗の差と重量増の影響についての検証を行うのもおもしろそうですね。
ということで、結論。
冬場は、夏場より遅くなる!!
これを理由に、トレーニングさぼっちゃだめですよ(笑)
コメント
自分も夏より冬の方が
遅く感じます
転がり抵抗は殆ど無視出来るので
空機密度の影響大と思われます
(ウエアも空気抵抗が増大する要因
夏は素足に半袖ジャージ)
但し夏は瞬間的に最高速度が出しやすいのですが
放熱が追いつかないため
早くバテてしまいます
逆に冬は冷却されるので
低温による放熱と乾燥による気化熱で体温維持がしやすく感じます
自動車だと冬の方が
空機密度が高く燃焼効率が高くなり
オーバーヒートしにくいため最高速度が出やすい
自動車メーカーが燃費テストを行う際
高緯度より低緯度の方が車重が軽くなるため
好成績が出しやすくなりますね
低緯度の方が重力による