乳酸からファティーグファクターへ 最新の疲労メカニズムと疲労回復方法について

最近の異常な暑さのせいか、疲労が抜けません。

 

じてつーで踏もうとしても、思うようにかからない感じ。

 

じてつーは、毎日欠かさず強制的に走ることになるので、疲労度が如実に表れます。

 

上手に疲労を抜く方法はないかなと調べていたら、疲労についての認識が間違っていたことが分かったので、それをご紹介しようと思います。

 

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疲労の原因は活性酸素

 

疲労の根本的な原因は、「活性酸素」なんですって。

 

老化やアンチエイジングの話に出てくるキーワードですね。

 

人間は酸素を吸って、体内に取り入れています。

 

その酸素を使って、エネルギーをつくり出しているわけですが、その過程で発生するのが活性酸素。

 

要は、普通に生活していても活性酸素は発生しているということです。

 

そして、この活性酸素は人体にとって悪者なのです。

 

活性酸素は人間の細胞を攻撃し、酸化させ、老化を進めます。

 

また、細胞が酸化する際に、ファティーグファクター(FF)という物質を生成します。

 

このファティーグファクターが疲労の原因物質というのが、現在の定説とのこと。

 

新たな定説、疲労物質の正体は、ファティーグファクター(Fatigue Factor)

 

一昔前は、乳酸が疲労の原因とされていました。

 

激しいスポーツをすることで乳酸が発生し、過剰に発生した乳酸が身体から抜けきらないことで疲労がたまるという考え方が主流でした。

 

私もそう思ってました。

 

ところが、2004年ごろには乳酸が疲労物質ではないということが分かってきていたようです。

 

乳酸は、糖を利用する際に発生する物質で、速筋にて生成されます。

 

それが、遅筋でエネルギー源として使用されるというメカニズムが分かったとのこと。

 

あくまでエネルギー源であって、疲労物質ではないんですね。

 

運動後数時間以内に乳酸値は正常に戻ることからも、疲労の原因物質とは言えないということのようです。

 

ちなみにLT値という用語がありますが、これは糖を利用する割合が増える閾値のことで、言い換えれば、速筋を使う割合が増える閾値でもあります。

 

ですので、LT値を超える領域での運動を長時間続けるのはキツイんですよね。

 

速筋を多く使ってしまっているわけですから、長時間持たなくて当たり前と言えば当たり前。

 

 

さて、疲労物質が乳酸でないことが分かり、研究が進められ、2008年に発見された疲労物質がファティーグファクター(FF)です。

 

このファティーグファクターを健康なマウスに投与したところ、疲労したように動かなくなってしまったとのこと。

 

また、その後、疲労回復物質として、ファティーグリカバーファクター(FR)も発見されました。

 

このファティーグファクターとファティーグリカバーファクターは、どちらもタンパク質の1

種です。

 

以下、疲労物質をFF、疲労回復物質をFRと表記します。

 

RがリカバーのRで回復の方やなと覚えていただければ分かりやすいかと。

 

疲労から疲労回復までのメカニズム

 

さくっとメカニズムを書いてみます。

 

1.過剰な酸素供給が必要な高強度の運動を行い、過剰な活性酸素が発生する。

2.活性酸素が細胞を酸化させる際に、FFを発生させる。

3.FFが発生したことを受け、FRが発生する。

4.FRがFFを除去し、傷ついた細胞を修復する。

 

このメカニズムによって、FFがきれいに除去され、細胞が早急に修復されれば、疲労が残らないということになります。

 

逆に、FFが多く残ってしまい、細胞が傷ついたままの場合は、疲労状態になるということです。

 

FRは、FFが発生すると同時に分泌されます。

 

しかし、その分泌量は人それぞれ。

 

日ごろから運動などを適度に行い、活性酸素を発生させるような生活を送っている人は、その対処のためにFRを頻繁に分泌しないといけないため、分泌量が多いのです。

 

FFの発生量とFRの分泌量の関係で、疲労しやすいか疲労しにくいかが決定するということです。

 

乳酸が疲労物質と考えられていたころは、血行をよくすることで乳酸を排泄し、疲労回復できると思われていましたが、そうではないんですね。

 

さて、そうと分かれば疲労回復のために行わなければならないことは、FRを多く分泌することです。

 

FRはどうすれば多く分泌できるのでしょうか。

 

ファティーグリカバーファクター(FR)の分泌促進方法

 

FRの分泌を促進する方法は以下の通り。

 

1.FFを適度に発生させる。

2.寝る。

3.リラックスした状態を作る。

4.38℃~40℃の風呂で15分ほど半身浴をする。

5.イミダゾールペプチド(アミノ酸の1種)を摂取する。

 

1.FFを適度に発生させる

FRはFFが発生している状態において分泌されるものなので、適度な運動を行い、過剰にならない程度にFFを発生させましょう。

 

家でごろごろしているより、軽いジョギング、散歩などの適度な運動をした方が疲労回復にいいと言われるのはこのためです。

 

適度に」というのがポイントですよ。

 

強度が上がるとFFの発生量の方が多くなってしまい、FRが処理しきれなくなって疲労することになります。

 

2.寝る

睡眠が1番!!

 

FRは副交感神経が優位になっている時に発生しやすいので、FFが溜まった状態=疲労している時は、ゆっくりと寝ましょう。

 

3.リラックスした状態を作る

これも副交感神経が優位な状態を作るためです。

 

森林浴などは、緑の香りが精神的なやすらぎを産み、FRの分泌が促進され、疲労回復に効果があるとのこと。

 

4.38℃~40℃の風呂で15分ほど半身浴をする

お風呂はリラックスできて、血行もよくなり疲労回復にいいはず!!と思っている方。

 

熱い風呂に入るとFFが発生してしまいます。

 

疲れを取るために風呂に入っているのに、疲れるという矛盾。

 

ぬるま湯にゆっくり入るとFRが分泌されます。

 

40℃以上の湯舟にはつからないようにしましょう。

 

5.イミダゾールペプチド(アミノ酸の1種)を摂取する

 

イミダペプチドやイミダゾールジペプチドとも呼ばれるみたいです。

 

このイミダゾールペプチドだけが、経口摂取によってFRを分泌させることができる唯一の方法のようです。

 

イミダゾールペプチドは、鶏胸肉に多く含まれています。

 

1日の理想的な摂取量は200mg~400mgですが、鶏胸肉100gから摂取が可能。

 

毎度おなじみサプリからということであれば、こちら。

 

DHCさんは、どんなものでもサプリ出してますね。

 

マイプロテインからの購入をお考えでしたら、カルノシンがイミダゾールペプチドにあたります。

 

過剰摂取は、1200mgまでは影響がないことが分かっているとのことです。

 

少々多めに摂取しても大丈夫そうですね。

 

実際に、大阪市立大学の研究によって、抗疲労効果が実証されているとのことですので、これは摂取した方がよさそうですよ!!

 

まとめ

 

疲労、疲労回復のメカニズムをご紹介しました。

 

活性酸素とファティーグファクター、ファティーグリカバーファクターで、すべての疲労が説明できるということですので、しっかりと覚えておきましょう。

 

そして、疲労回復に重要なことは、結局のところ、上質な睡眠、適度な運動、リラックスした状態を作るということです。

 

 

最後に重要なことを1つ。

 

疲労と疲労感は異なるものだそうです。

 

疲労感は、あくまで「しんどいな、疲れたな」という感覚的なもの。

 

ですので、実際は疲労していても、集中していたり高揚感が勝ると疲労感は感じないということがあるそうです。

 

実際は疲労しているけど、疲労してることを感じない状態というのは、極めて危険な状態です。

 

仕事で残業しまくっていた人が、ある日、突然倒れる理由も正にこれに当たります。

 

栄養ドリンクを飲んでがんばるというのも疲労感を薄れさせているだけで、疲労が解消されているわけではありません。ただのごまかしです。

 

「無理をしているな」とか「疲れているな」と少しでも感じるのであれば、しっかりと寝てください。

 

疲労回復に時間を当ててください。

 

無理は禁物ですよ。

 

ロードバイクのトレーニングについても同じことが言えそうですね。

 

 

次回は、FFとFRの分泌、疲労回復の考え方をロードバイクのトレーニング方法に当てはめて考えてみたいと思います。

 


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