サイクリストがダウンヒルの際に気を付けるべきポイント

ヒルクライムが好きなサイクリストは多いですよね。

ヒルクライムを終えれば、待っているのはダウンヒル。

ヒルクライムは好きだけど、ダウンヒルは苦手、嫌いという方は意外に多いのではないでしょうか。

ダウンヒルが苦手であったり嫌いな理由は、スピードが出ることによる恐怖心やコーナリング時の不安定感、握力の低下や身体の痛みといったところではないでしょうか。

そんなダウンヒルを安全かつ負担を少なくしてこなすためのコツといいましょうか、私が実践していることを記事にしたいと思います。

心理面、技術面、装備面に分けてお話していきます。

お時間がない方は、心理面だけでも読んでみてください。

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心理面の重要ポイントは3つ (必読!!)

・安全第一

・怖いと感じる領域に突っ込まない

・すべての操作について、余裕をもつ

安全第一

当たり前すぎですね。

ダウンヒルにおいて、安全を第一に考えることは最優先事項です。

高速になりがちなダウンヒルで事故を起こすということは、重症は免れない、最悪の場合は死ぬ可能性もあるということをしっかりと認識しておきましょう。

実際、ロードバイクに関する死亡事故のほとんどはダウンヒルで起きています。

怖いと感じる領域に突っ込まない

恐怖を感じるということは、ロードバイクを自分の制御下に置けていない証拠です。

危険な領域に足を踏み入れている時、人間は本能で恐怖を感じるものです。

恐怖心は危険信号と認識し、恐怖心を感じない領域まですぐさま引き返せるように意識してください。

すべてにおいて、余裕をもつ

心理的にも。

操作的にも。

すべてにおいて、余裕をもつことが重要。

ハンドリングにしてもブレーキングにしても、ぎりぎりの領域で操作を行うとコントロールがシビアになり、事故を起こす確率が上がります。

技術が未熟なサイクリストの場合、シビアな操作を求められると身体が緊張し、硬直してしまいます。

繊細なコントロールを要求されているのに、通常時よりも繊細さを欠くコントロールしかできない状況に陥るわけです。

危険以外のなにものでもありません。

早めかつ十分な減速、余裕をもったライン取り、周囲がどのような状況であろうとも影響されないだけの心理的余裕。

後ろから煽られても無視。

追い抜かれても気にしない。

前走者が見えなくなっても追いかけない。

技量に合わせ、マイペースを貫けるだけの心の強さが大事です。

あと、優しき方にありがちですが、ダウンヒル中に後続の様子を気にするのもやめた方がいいです。

ダウンヒル中は、常に危険な状況にあることを認識し、自分の安全に集中すべき。

危険な状況を後続に知らせないといけない場合は、前方を見たまま、大声で叫びましょう。

技術的なポイント

・コースを熟知する

・コースコンディションの把握

・乗車姿勢(ライディングフォーム)

・ライン取り、ブレーキングなどのコーナリングに関する技術論

コースを熟知する

ダウンヒルにおいて、もっとも重要な要素はコースに対する熟練度です。

コーナリングがそこそこ上手で100回走り込んでいる人とコーナリングがプロ級で初めて走る人が対決すれば、トリッキーなコースを初回限定であれば100回走り込んでる人が勝ちます。

それぐらい初見というのは、走行するのに不利。

初めて走るコースなら遅すぎるぐらいでよいです。

初めてのコースを走る際は、視覚(ミラーを含む)に頼るしかないので、想像で走らないこと。

前走者のスピードを信じない。

自分がもっている情報だけで判断し、走行すること。

自信をもって走っていいのは、コース上のマンホールの位置やグレーチングの位置、段差や穴やひび割れの位置まで頭に入ってからです。

コース予測能力も大切という方もいらっしゃいますが、私は不要だと考えています。

「このコースのつくりなら、次は右に曲がりこむコーナーがくるだろうな」ということだと思うのですが、相手は自然に合わせて敷かれた道路です。

パターン化できるわけもないので、そもそも予測不能でしょう。

やはり、コースを知らない状況においては、目視とミラーで確認できる範囲内で危機回避可能な領域に抑えるべきでしょう。

コースコンディションの把握

コースコンディションは、コースレイアウトと異なり、毎回変わります。

同じコースを登り、下る予定であれば、登りの際にコンディションの確認をしておきましょう。

落ち葉や砂が多い場所、濡れているところなど滑りやすくなっていそうな場所を重点的にチェック。

昨日と同じだろうと思って、いつも通りのスピードで突っ込んだコーナーの途中に凍結箇所がありました、砂がまかれていましたなんてことも・・・

乗車姿勢(ライディングフォーム)

直進時とコーナリング時では、ポイントが異なるので分けて考えます。

ロードバイクをベースとした内容になっています。

先に共通事項から。

共通事項

・前のめりではなく、後ろ寄りに乗る

・上体は起こしぎみに

・傾斜10%までならブラケットでOK

・かかとを落とす

・ハンドルに体重をかけない

前のめりではなく、後ろ寄りに乗る

ダウンヒル時は、何もしなくても前荷重(前輪に車重+ライダーの体重が前方に寄る状態)になっているため、前のめりの状態でブレーキングを行うと身体が前方に投げ出されてしまう危険が高くなります。

また、段差を超えるなど、下からの突き上げがあった際にも身体が前方に投げ出されるような力の加わり方になるので危険。

重心が少し後ろ寄りになるぐらいのポジションで乗りましょう。

上体は起こしぎみに

安全に下ることを優先するのであれば、エアロフォームは不要。

上体は起こし気味にして、バランスのとりやすい姿勢を維持しましょう。

上体を起こし気味にすることで、胴体で風を受けることになるので、速度上昇を抑える効果もあります。

※横風が強い時や風が巻いている時など、煽られる危険性がある時は、エアロフォームをとって影響を小さくすることもあります。

傾斜10%までならブラケットでOK

ダウンヒル時は下ハン」とよく言われますが、10%ぐらいまでの下りであれば、ブラケットで十分だと思います。

下ハンを薦める理由は、ブラケットに比べてブレーキを握る力が少なくて済むため、非力な方でもしっかりと制動力を立ち上げることができるためです。

なのですが、そもそもブラケットでブレーキを力強く握れないのは、ブレーキを人差し指のみ、もしくは人差し指と中指のみで操作しなさいという定説があるからだと思うんですよね。

私、ハードブレーキング時は、その定説を破って薬指も使ってブレーキを握ります。

人差し指はおかざりになりますが、かなり力強く握り込むことができます。

激坂では厳しくなりますが、ある程度までの傾斜ならブラケットでもこなせますよ。

私の場合、ULTEGRA(BR-6800)を装着しているから言えることかもしれませんが・・・

下ハンはバランスを取ることが難しくなりますし、何より疲れます。

ブラケットで対処できるに越したことはありません。

かかとを落とす

かかとが落とせていないと、ハードブレーキング時に身体が前に投げ出されます。

非常に危険なので、つま先立ちにならないように気をつけましょう。

ハンドルに体重をかけない

後ろよりの重心、ペダルに乗ることを意識していれば、自然とハンドルに体重がかからない乗り方になります。

ハンドルに体重がかかっていると、路面の凹凸などで突き上げられた際に手がハンドルから離れてしまい、落車の原因になり危険です。

よくいわれますが、手はハンドルに添えるイメージで。

間違っても握りしめないように。

直進時のフォーム、ペダル位置など

・基本はスタンディング

・ペダルは3時9時の位置

・膝を少し曲げ、サスペンションのようにショックをいなせるようにする

・サドルを両足のハムストリングスあたりで挟み込む

基本はスタンディング

コースに対する熟練度が低い場合、前方の道路状況が分かりにくい場合はスタンディングが基本です。

突如、道路に穴や段差などが姿を現した際に、シッティングだとサドルにお尻を突き上げられてしまい、バランスを崩す可能性が高くなります。

スタンディングであれば、膝で突き上げを吸収できるので、いざという時に体勢を安定させやすいというメリットがあります。

先々のコース状況が分かっていて、コースコンディションが良好である場合やペダルを回す場合はシッティングでOK。

ペダルは3時9時の位置

利き足(ボールを蹴る方)が後ろ、軸足が前で3時9時の位置にします。

左右の足に同じ配分で体重をかけるためです。

6時12時だと、6時側の足に体重がかかってしまい、バランスがとりづらくなります。

膝を少し曲げ、サスペンションを効かせる

どのスポーツでも同じなのですが、膝をサスペンション(クッション)のように使い、ショックを吸収することは大切です。

膝を伸ばしきっていると、凸凹があったときに安定性が低下しますし、上体(特に頭部)がぶれてしまうので視線が定まらなくなります。

視線がぶれると、小さなくぼみや障害物の発見が遅れてしまい危険です。

膝を上手に使い、下からの突き上げをいなせるようにしてください。

サドルを両足のハムストリングスあたりで挟み込む

バイク乗り(または馬乗り)の方はご理解いただけると思うのですが、車体を挟み込むと一体感が増して、安定性が向上します。

高速域では、真っすぐに走らせることも難しくなり、ハンドルが小刻みに振れるような動きをし始めます。

ハムストリングスあたりでサドルを挟み込むようにすると、その振れが収まり安定します。

コーナリング時のフォーム、ペダル位置など

右へのコーナリングを想定しての解説です。

※ 左へのコーナリングは、逆足に置き換えてください。

・基本はシッティング

・右足を上死点、左足を下死点に

・フレーム、もしくはサドルに左足を当てがうように

基本はシッティング

直進時と異なり、コーナリング時はシッティングが基本です。

左足は下死点で踏ん張る状態になるので、自然とシッティングになります。

右足を上死点、左足を下死点に

右足を下死点にすると車体を傾けている方のペダルが下にきます。

車体の傾きが浅い状態でもペダルが地面に当たってしまい、落車の原因になります。

また、速度域が高い場合には、遠心力が強く働きます。

遠心力に対してバランスを取るには、左足で踏ん張らなくてはいけません。

そのためにも、左足が下死点にこないといけないということになります。

フレーム、もしくはサドルに左足を当てがうように

直進時にサドルをハムで挟むというのと同じ理屈です。

身体を車体に密着させることで、一体感が増し、安定性が向上します。

ライン取り、ブレーキングなどのコーナリングに関する技術論

ライン取りとは、なるべく操車に無理がないように道路のどの部分を走るかを頭の中で描き、描いた線(ライン)の上を走行することです。

アウト・イン・アウトという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

詳細は、以下の三菱自動車のサイトを読んでみてください。

コーナリング – MITSUBISHI MOTORS – クルマの学校 –

4輪も2輪も、タイヤがついている車両を操縦する際に考えないといけない物理的な話は同じです。

まずは、物理を理解した上で、2輪であることと公道であることを加味し、注意すべき点をお話したいと思います。

コーナリングは、3つのパートに分けて考えます。

1.コーナー進入前

2.コーナリング中

3.コーナー脱出時

1.コーナー進入前

1番重要なパートです。

特に2輪の場合は、コーナー進入前のライン取りとブレーキングがすべてといっても過言ではありません。

自転車の場合、コーナリングに入ってからパワーで進行方向を無理やり変えるなどのパワー技が使えないため、オーバースピードでコーナーに進入した際にできること(リカバリー)は何もありません。

コーナリング中に強めのブレーキングをすれば、タイヤがスリップしてしまい落車します。

※軽く調整程度のブレーキングであれば問題ありません。

タイヤのグリップの使い方が関わる話ですので、こちらの記事も参考にしていただければ分かりやすいかと思います。

関連記事:タイヤのグリップ力について ~コーナリングやブレーキングの限界についての理論~

ですので、十分な減速早いタイミングで終わらせておくことが最重要ポイントになります。

十分な減速が必要なのはご理解いただけると思いますが、早いタイミングでとは?

ハードブレーキングは、姿勢を乱しやすくなります。

特に、ダウンヒルの場合はブレーキングすることで前荷重が発生するため、後輪はより一層不安定な状態になります。

後輪が不安定な状態で左右への操舵を行うと、前輪は曲がろうとしているのに後輪は直進し続けようとして、後輪が滑りはじめてしまいます。

4輪車でいうところのドリフト状態です。

2輪でスリップ状態になってしまうと立て直しは容易ではありません。

ですので、コーナー進入前は直線的に余裕をもってブレーキングすることが重要になります。

また、コーナリングはなるべく大きな孤を描くようにおこなう方が、遠心力が小さくなるためスリップする可能性が低くなります。

大きな弧を描くためには、コーナーへの進入をアウト側からおこなわないといけません。

ですので、コーナー進入に向けて、アウト側へ直線的に向かうのが理想ということになります。

先にアウト側へ寄ってしまってから直進するのか、斜めに直進するのかは状況によりますので、安定した姿勢を作りやすい方を選択してください。

さて、理屈は上記の通りなのですが、ダウンヒルは峠であることが多いですね。

ここで注意点。

峠では、アウト側の路面状況が悪いことが多いです。

アスファルトにひびが入っていたり、砂が浮いていたり、落ち葉が多かったり。

湧き水が路面を濡らしているかもしれません。

状況をみてですが、あまりアウト側ぎりぎりに寄り過ぎないようにしましょう。

最後にちょっとしたコツみたいなものですが、コーナー進入の直前に曲がる方と逆側に一瞬だけ前輪を振ると、コーナリングがスムーズかつリズミカルに行えるようになります。

2.コーナリング中

コーナリング中は、何もしないことがベストです。

事前に描いたラインをただトレースするのが正解。

加速、減速はなるべく行わない。

タイヤのグリップの使い方を読んでいただいた方なら理解いただけると思いますが、タイヤのグリップを横方向に使っている最中に、縦方向にも使おうとするのは危険要素。

ただし、下りながらの長いコーナリングであれば、意図せずスピードが上がることがありますので、調整のブレーキングはこまめに行いましょう。

リアブレーキを軽く当て、体勢を整えつつ、フロントブレーキで速度調整を行いましょう。

ライン取りにはついては、クリッピングポイントというコーナーの頂点に向かって大きな弧を描くようにします。

そして、視線をクリッピングポイントに向けてください。

視線を向けることで、自転車はそちらの方向へ進んでいきます。

ただ、走っているのは公道ですので、反対車線側に寄り過ぎないように気を付けてください。

特に、右へのコーナリングはクリッピングポイントがセンターライン上にあることになりますので要注意。

ミラーなどで、対向車が来ている時は、走行車線中央あたりまでに抑えるようにしましょう。

最後にですが、ペダリングもしない方がいいです。

ペダルヒットする可能性がありますので・・・

3.コーナー脱出時

クリッピングポイントを過ぎると、コーナーイン側に倒した車体をもとに戻しつつ、アウト側にラインを取ることになります。

視線もアウト側に向けます。

ペダルの漕ぎ出しは、車体が相当立った状態になるまでは我慢しましょう。

焦ってペダリングを始める必要性なんてありません。

複合コーナー(すぐに逆向きのコーナーがある場合)は、アウト側ではなく、そのままイン側に向かいます。

1つ目のコーナー出口イン側が、2つ目のコーナー出口アウト側になるためです。

アウトインインインアウトという感じになります。

複合コーナーの1つ目が右コーナーの場合、センターラインに近いところを走る区間が長くなります。

対向車もイン側を走ってくる可能性が高いため、接触のリスクが高くなりますので、ギリギリを走らないように注意してください。

長いダウンヒルでのブレーキングの注意点

ブレーキは、長い時間かけ続けると温度上昇を起こして制動力が低下します。

最悪、ほぼ止まらない状況に陥るフェード現象が発生します。

フェード現象が起こると大変危険ですので、あらかじめブレーキをかけ続けるような操作は意識して回避しましょう。

私は、1秒かけて、戻して、1秒かけて、戻してというようなブレーキングをよく使います。

ブレーキを戻している時間が少しでもあれば、冷却効果を得れるためです。

また、カーボンホイールを履いているのであれば、リムが溶けるのを防ぐことができるかもしれません。

装備面での重要ポイント

・グリップ力のあるタイヤを履く

・高性能のブレーキを装備する

グリップ力のあるタイヤを履く

唯一、路面と接するパーツがタイヤです。

タイヤがグリップしなければ止まることはできません。

高性能タイヤを履く理由は、スピードアップのためではなく、余裕をもったコーナリング確かなブレーキングのためだと考えてください。

高性能のブレーキを装備する

ブレーキは、アルテグラ以上を装備したいところです。

最低でも105ですが、アルテグラと105の間にもそこそこの性能差を私は感じました。

アルテグラ以下のブレーキでは乗れる気がしません。

完成車についているブレーキは、105仕様と謳っていてもテクトロが付いていたりするので、確認しておきましょう。(105Mixという売り方ですね、ほぼ詐欺・・・)

参考動画

私の走行動画ですが、西六甲ダウンヒルの動画を張っておきます。

ライン取り、ブレーキング(手の動きやスピード計)、コーナー進入時の車体の動き、リズムの取り方など、参考になれば幸いです。

※速度域は真似しないでください。

まとめ

ダウンヒルを安全に走るためには、座学的な知識も必要です。

ただ遅く走ることが、安全な走行とは思わないでください。

速度域が低くても事故を起こす人は起こしますし、速度域が高くても事故を起こさない人は起こしません。

その差は、物理の知識量の差とそれを実践する身体および技術の差、そして心の余裕、周りに影響されないハートの強さの差ではないでしょうか。

長くなりましたが、当記事が何か1つでもお役に立てれば幸いです。