ロードバイクのポジション出し、難しいですよね。
ポジション出しの難しさの理由は、サドルやステム、ハンドルなど複数パーツの位置調整が必要なこと、各パーツの位置調整にも複数の要素があること、そして、それがお互いに影響しあうことで何を優先して調整してよいか分からなくなることではないかと思います。
ポジション出しの優先順位を間違ってしまうと、訳が分からなくなってしまうんですよね・・・
ということで、当記事では、ポジション出しの優先順位の高い順にポイントを解説してみたいと思います。
お時間があるようでしたら、ポジション出しについての基本的な考え方について書かせていただきました以下の記事を先に読んでみてください。
ざっくりとお伝えすると
筋力、柔軟性、身体の使い方などの複合的な要素で、ベストポジションは変わります。
ベストポジションを探る過程では、違和感を感じること、遅くなったと感じることもあるかもしれませんが、1ヵ月ぐらいは心折れずに試してみましょう。
という内容になっております。
また、ポジション調整がなぜ必要なのか?ということをおさえておいてください。
答えは、余計な力を使わずに、楽に、しっかりとペダルに体重を乗せれるようにするためです。
ペダリングは、足の力で蹴るのではなく、体重を乗せてペダルを押し下げることにより、楽にパワーを伝えることができます。
ペダルに体重を乗せるには、ペダリングのポイントを理解し、それを実現するためのフォームを作れないといけません。
ペダリングのポイントとフォームに関しても別の記事で解説していますので、そちらも確認いただいてから、当記事を読んでいただくと点と点が結び付き、線になりやすいかと思います。
それでは、具体的に私が考えるポジションの出し方について書いていきたいと思います。
まず、私がおすすめするポジションを出す箇所の優先順位について。
ポジション調整が可能な箇所は複数ありますよね。
代表的なポジション調整が必要な箇所に、優先順位をつけてみました。
1.サドル角度
2.サドル高
3.サドル前後位置
4.クリート位置
5.ハンドル高
6.ブラケット位置
7.ステム長
他にも調整すべき箇所はあると思います。
比較的簡単に調整可能な箇所の中で、ということにしておいてください。
クランク長やハンドル形状の変更は、いささかお金がかかってしまいますので・・・
対象箇所が多いので、複数記事に分けたいと思います。
当記事では、サドル周りの調整について解説していきたいと思います。
ポジション調整は、大胆に、繊細に
サドル周りの調整について書かせていただく前に、ポジション調整の調整幅について簡単に。
どの箇所についても当てはまることなのですが、私の経験上、1mmの変更を加えるだけで、ペダリングやフォーム、身体への負担など様々な面で劇的な変化が表れます。
1cmの変更を加えようものなら、別世界間違いなし!!
ですので、調整の手順は理想と考えるポジションをイメージし、初手はガツンと大きく変更、その後、微調整を繰り返していくという手順が1番だと思います。
最初から微調整していくと大変な場合もあるので・・・
ポジション調整は、大胆に、繊細に
まずは、サドル角を水平にセットしよう
ポジション調整を始める際、1番最初に固定しておきたい箇所がサドル角です。
サドル角は、水平にセットするのが無難。
プロ選手の中には、サドルを前下がりにする選手も多いようです。
UCI(国際自転車競技連合)という自転車の国際競技統括団体が定めるサドル角に関するルールでは、+-3度までとなっています。
ルールぎりぎりの-3度にセットするような選手もいるようですが、それは鍛え上げられた強靭な肉体があってこそ真価が発揮されるポジションです。
サドルを前下がりにすると、支える筋力がない場合、お尻が前にずり下がっていくようになります。
ずり下がらないように維持するには、ペダルに負荷をかけ続ける以外に手はありません。
※ハンドルに負荷をかける手もありますが、肩が痛くなるだけで、速く走れませんね・・・
謂わば、強制ペダリングマシンとなるために、サドルを前下がりにしているわけです。
体重を乗せれるので、パワーは出るでしょうけど、ホビーライダーでは1時間ともたないのではないでしょうか・・・
私も前下がりにしていた時期があった(というか、2年ぐらい前下がりだった・・・)のですが、太腿の前側(大腿四頭筋)を使ってしまい、ロングライドがつらかったです。
アレスプに変更前のチネリちゃんのサドル角は、前下がり・・・
「ロードバイクのおいて、どのようなレベルアップを望みますか?」と尋ねられた時、ロングライドを楽に速くこなせるようになりたいと回答される方は多いのではないでしょうか?
これを達成するには、持久力のない大腿四頭筋を使ってしまいがちなポジションは不向きです。
前下がりより水平の方が、持久力のある大臀筋やハムストリングを使いやすいです。
サドル角は、水平に合わせるのがベストだと私は思います。
ちなみに、サドルを前上がりにするポジションは、前傾姿勢をとった際、股間への圧迫がキツくなりやすいため、おすすめしません・・・
しかし、試してみるのはいいことだと思います。
「これは違うな・・・」と感じることもよい経験になりますので、1度試してみてください。
サドル高、サドル前後位置はセットで調整が必要
サドル角を水平にセットしたら、サドル高とサドル前後位置の調整に取り掛かりましょう。
一般的には、サドル高→サドル前後位置の順で調整していくかと思います。
しかし、サドル高のみを変更してお仕舞いにするのは避けたいところ。
というのも、サドル高の変更を行うとサドル前後位置も一緒に変わってしまいます。
写真を見ていただいたら一目瞭然ですが、サドル高を上げた際、シートポストは斜め後ろに伸びます。
そのため、サドル前後位置は意図せず後退することになります。
サドル前後位置に関しては、サドル高を変更する前がベストだったのであれば、サドル高を変更した後にサドルを少し前に動かさないといけませんよね。
逆に、サドル高を決めてからサドル前後位置を後退させた場合、サドル位置からペダルまでの距離は遠くなりますので、その調整のためにサドル高を下げないといけなくなります。
サドル高とサドル前後位置は、相互に作用しあう要素なので、セットで調整することをおすすめします。
停止状態でサドルに座りながらつま先立ちできますか?
サドル高の調整方法には、メジャーなものが2つありますね。
1.股下の長さに0.875(他の係数も存在しますが・・・)を掛ける
2.下死点で、かかとがペダルに無理なく丁度のるぐらいの高さ
1の股下×係数という算出方法に関しては、杓子定規な求め方ですね。
人間の身体は千差万別ですから、一定の係数を掛けるという方法は、信憑性に欠ける気がします・・・
そもそも、係数が数種類ある時点でお察しな気がします(;’∀’)
2のかかとをペダルにのせる調整方法は、信憑性が高そうです。
クランク長も考慮に入りますし、足を伸ばした状態で踵がペダルにのる=母指球でペダル軸を踏む状態では、膝に余裕が出るということになりますし。
クランク長が長すぎたり短すぎるとアウトですけど・・・
そこで、クランク長にも左右されず、係数に頼るでもない調整方法はないかと思っていたのですが、気付いたことがありましてね。
TwitterやInstagramに流れてくるプロ選手のある状態の写真を眺めていて、共通点を見つけたんですよ。
こちらの写真を見てみてください。
超絶ヒルクライマー、アルベルト・コンタドールの1コマ。
こちらは、2018年の埼玉クリテリウムの1コマ。ユッキーヤじゃない方の選手に注目。
どちらもサドルに座ったまま、つま先立ちで停止できてるのに気付きました?
みなさん、これできます??
私は数週間前まで、できませんでした・・・
というのも、サドルが高すぎたんですね。
真似してみようとしたら、股へのクリティカルヒットが10連打ぐらいで入って逝くかと思いました・・・
意外に私と同じようなサドル高で乗られている方、多いのではないかと思います。
1度、試してみてください。
サドル高の低さ、下死点付近での足の伸ばし切れない感に驚くと思います。
おもいっきり踏んだら、サドルからお尻が浮く感覚とでもいいましょうか。
その状態で、膝の伸展による踏むペダリングになってしまうと、膝への負荷がすさまじいことになり、膝を壊します。
それを回避するためには、ペダリングを工夫しないといけないのですが、そのためにはサドル前後位置の調整も必要になってきます。
ペダルが3時の位置で、膝が90度に曲がりますか?
こちらは、例となる写真が多かったですね。
まずは、サガン2連発。
そして、埼玉クリテリウムのユッキーヤ。
ペダル3時の位置で、膝が90度になってますよね。
サドル前後位置の出し方として挙げられる有名な方法として、ペダル3時の位置で膝から糸を垂らし、ペダル軸の上にくる位置というのがあります。
この方法で、ほとんど正しい位置になるかと思いますが、私のような例もありまして・・・
3時の位置より少し下がっていますが、膝の出っ張りのところから糸を垂らすとペダル軸とほぼ同位置ですが、膝の曲がりが浅いですよね。
そして、膝より下が立ちすぎてます。
今やE1戦士のはこぶねにゆられての中の人を見てみると
3時より少し手前の写真ですが、膝は90度で、膝下が少し後方を向いています。
これが、大臀筋やハムストリングを使ったペダリングをするために、とても重要なポイントではないかと考えています。
というのも、大殿筋やハムストリングの働きは、股関節の伸展なんですよね。
股関節の伸展とはどういう動作かについては、こちらの動画が参考になると思います。
3分34秒あたりから5分ぐらいまで、脚部の関節の動作について解説してくれています。
そして、4分ぐらいで股関節の伸展を実演してくれていますが、この動きをペダル1時から5時ぐらいまでの動作に当てはめたいということです。
逆に、持久力のない大腿四頭筋を使う動作は、膝関節の伸展です。
動画では、7分ぐらいから解説されていますが、膝関節の伸展とは、足を前に蹴り出すような動作のことですね。
この動作は、なるべくペダリングに当てはめたくないということになります。
では、ペダリングについての解説でよく耳にする太腿を上げ下げすることだけに集中している、膝から下は脱力するなどのポイントを実現するにはどうすればよいか?
まぁ、どちらも膝関節の伸展に力を使うなということを伝えたいのではないかと思うわけですが、その実現には、膝の位置が後ろ過ぎたらアウトということになります。
膝の位置が前にないと、後方への伸展動作にはなりませんよね。
こちらは、私の奥さんのペダリング写真ですが、この膝の位置では足を後方へ力強く蹴り出すのが難しいように思えませんか?
E1戦士ぐらい膝下が後方に向いている方が、自然に蹴り出せるように見えません??
私が、ペダル3時の位置で膝が90度になるようなサドル前後位置が重要だと思う理由は、ここにあります。
膝が90度になるように調整するには、サドル高の変更も対象となってしまいますが、こちらは、前述のサドルに座ったままつま先立ちが出来る高さという目安がありますので、それを崩さないように。
最適なサドル高を守りつつ、膝が90度になるサドル前後位置を見つけ出すのがよいかと思います。
自重でペダルを押し下げるようなペダリングもセットで
サドル周りのポジションが出せても、ペダリングが噛み合わなければ、意味はありません。
むしろ、前述のとおり、膝への負荷が増大する可能性すらあります。
私の感覚では、上体を前傾させることでペダルに自重をのせ、その反力をハムストリングで耐えるようなイメージです。
自分の意志で、ペダルを踏みにいくようなイメージではありません。
踏みたくても踏むのを我慢するのに必死www
そして、一気に出力を上げるのは難しい感じです。
実際は、大臀筋やハムストリングで股関節を伸展する力でペダリングしているのだと思います。
実際、最近のライド後は、大腿四頭筋はノーダメージなのに、ケツが痛くて仕方ありません。
先日に参加させていただいたおそみので、きのっぴ師匠からお聞きした自重だけでペダルは沈んでいくでしょ?という言葉の意味が分かってきたように思います。
感覚的には、おっしゃる通りだと思います。
そう感じれるようになるまでの道のりが長かったですが(;’∀’)
しかし、自重でペダルを沈めていくような感覚は、ポジション変更を行わないと感じることはできなかったと思います。
ペダリングは、本当に奥が深いですね・・・
最後に
ポジション、ペダリング、フォームとすべての要素がバシッとハマらないとうまくいかないものです。
どれか1つが欠けるだけで、まったく異なる結果が導きだされるのは、本当におもしろいです。
苦労させられますがwww
今回は、サドル周りのポジション出し、下半身にのみスポットを当てて書かせていただきました。
しかし、これでパーツが揃ったかといえば、NOです。
足元の調整項目でもっとも難しいと思われるクリート位置の調整が残っています。
また、上半身も残っていますね。
しっかりとペダルに自重をかけるには、上半身の使い方も重要です。
クリート位置の調整、上半身の使い方に関わるハンドル高やステム長については、また後日、記事をアップしたいと思います。
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